「新月」ってなに?夜空から月が消える日が教えてくれる“はじまり”の意味 / 人生に行き詰まりを感じている方におすすめの一冊

こんにちは、うめこです。

今回は、ヒューマン系のほっこり温かくなる小説で、「月」の持つ不思議な力について触れられた本がありましたので、ぜひご紹介したいと思います。占いに興味がある方もない方も、気軽に楽しめる一冊だと思います。

はじめに

うめこ
うめこ

 西洋占星術を学んでいる立場でありながら、うめこは最近、星の動きを調べたり、各天体が伝えてくれるヒントに目を向ける余裕を失っていました。目の前にある山積みのタスクに追われて、自分の感情に振り回されたり、疲れを感じることも多くありました。 なんとか前向きになれるものに触れて、気持ちを奮い立たせようとしても体がついていかなかったり。そんな時に、読書好きの家族から紹介され、たまたま手にしたのが、青山美智子さんの『月の立つ林で』という小説です。

 占いに全く興味がない家族ですが、家族の口から思いがけず、「新月は何かをスタートするのに良い日みたいだよ」という話が出たときには、正直驚きました。そして、西洋占星術における「新月🌑」についての捉え方を改めて思い出し、早速こちらの小説を手に取りました。

 まず、読み終えた後の率直な感想としては、とても優しい読み心地で、なんだか温かい気持ちになりました。ヒューマン系の心理小説がベースになっているので、疲れている時でも、気を張らずに読める一冊です。最後には、はらりと涙がこぼれるような結末が待っている点もおすすめです。

ご紹介する本

Amazon.co.jp: 月の立つ林で (ポプラ文庫 あ 14-2) : 青山 美智子: 本
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この本の”影”の主人公は、まさに「月」と言えるでしょう。小説の至るところで、月にまつわる言い伝えや伝説、豆知識などが紹介されており、この小説の中では、月を中心にストーリーが進んでいきます。

「新月🌑」とは、夜空を見上げても月が見えない日のことを言います。月はいつも形を変えながら夜空に浮かんでおり、まん丸に見える「満月🌕」の日もあれば、「三日月🌙」の日もあります。でも、「新月🌑」の日は、「地球🌏」「太陽☀️」「月🌛」が一直線にならびます。そして、「地球🌏」と「太陽☀️」の間に月があり、地球から見ると月の明るい面(太陽の光が当たっている面)がちょうど地球の反対側を向いているため、地球にいる私たちからは、夜空のどこを探しても「月🌛」が見えなくなるのです🌌

 でも、たとえ「月🌛」は私たちの目に見えなくても、「新月🌑」の日にも確かに存在しており、次のタイミングを待ちながら、静かに”あるべきところ”にあるんです。

 『月の立つ林で』は、タケトリ・オキナという謎の男性👨によって、決まって毎朝7時に10分間だけ配信される『ツキない話』というポッドキャスト番組を中心に展開されていきます。ストーリーは、5つの章で構成されており、各章には主人公が1人登場し、各主人公の目線からそれぞれの日常生活が情感たっぷりに描かれています。5人の主人公の共通点としては、周りからはキラキラして見えるような人であっても、内側には何とも言えない葛藤や将来に対する不安を感じていること、そして、それぞれひょんなきっかけから、この『ツキない話』のポッドキャスに出会い、そして毎日の配信を楽しみに待つようになる点です。さらに、5つの章はそれぞれ独立している物語と思いきや、最後まで読み進めていくと、実はお互いがゆる〜く、そして温かく互いに関係していることが分かり、この小説を読み終える頃には、なんとも優しい気持ちにさせられます。

 ポッドキャスト『ツキない話』は、毎日「竹林からお送りしております、タケトリ・オキナです。かぐや姫は元気かな」という、ちょっとキザなフレーズから始まります。配信者のタケトリ・オキナについては、おそらく男性であること以外、顔も年齢も職業も明かされていません。しかしながら、タケトリ・オキナの穏やかな話口からは、聞き手の存在をあるがままにそっと受け入れるような包容力が感じられ、また「月🌛」という存在をとても大切に考えていることも配信の節々から感じられるます。たった10分間の配信ですが、それぞれの主人公は、次第に新しい気づきやひらめきを得たり、今の自分の環境や世界を優しく見つめ直すきっかけを得ていきます。

 さらに、最後まで読み進めると、タケトリ・オキナが、なぜこんなにも月を愛し、大切に思っているのか、その秘密が明かされ、うめこはその場面でうるっとしました。

うめこが印象に残ったポイント

「自分にはどうにもできないってことが、世の中には本当にたくさんあって…。月はそんな僕たちに、大きな見守りをくれる気がするんです」


 こちらは、『ツキない話』の配信の中で、タケトリ・オキナが発した一言です。西洋占星術では、太陽は父親を、月は母親を象徴する存在と捉えられています。月の存在を意識し、月に向けて祈ることが、なぜか自分をあるがままに受け入れられるようになったり、内面の成長を促されるきっかけを得たり、これらも月の持つ不思議な力や重力と何か関係しているのかもしれません。

あたりまえのように与えられ続けている優しさや愛情は、よっぽど気をつけていないと無味無臭だと思うようになってしまうものなのよ。透明になってしまうものなのよ。それは本当の孤独よりもずっと寂しいことかもしれない

 こちらは、最終章でとある女性が、主人公のminaへ発したた一言です。人生は、私たちの願いや意図と反して、予想外のことが次々に起きり、日々その繰り返しです。そのことは誰にも変えられません。しかしながら、想定外な事態に見舞われたとしても、一方で、今ある状況をフラットな目で冷静に見つめてみれば、一方で思いがけず手にしたものが、ちゃんとあるはずであるということを優しく教えてくれます。主人公minaの場合は、実は一番近くにいて絶え間なく与えられている家族からの優しさと沁みない快適な目薬でした。

「どんな状況も、私たちには、良い悪いをすぐにジャッジすることなんかできないのかもしれない。物事はいつも、ただ起きる。そして私たちは、起きていることが自分にとってみんなにとって「いいこと」になっていくようにと、願い、信じ、行動するだけだ。

 小説の中で描かれているこのシンプルな気づきは、minaの日常生活の中で起こったとんでもない出来事の体験を通して、私たちに紹介されています。私たち読者は自らの想像力を膨らませることにより、5人の主人公+配信者であるタケトリ・オキナの日常を通じて、まるで私たち自身が小説の中で起こるあらゆる体験をし、そしてその体験を通じて新たな気づきや行動のきっかけを得たような感覚を覚える、素敵なストーリーでした。
 

まとめ:今は見えないけれど、ちゃんとある

うめこ
うめこ

「新月🌑」の日は、夜空に「月🌛」は見えなくても、「月🌛」はちゃんとそこにあって、これから少しずつ光を取り戻していく準備をしているのだと感じます。そして、それは私たちの心にも似ているかもしれません。落ち込んだり、何もできないように思えても、実は心の中には、もう“次の光”が生まれ、そして小さく育ち🌱始めているんです。「月🌛」は、「新月🌑」〜「満月🌕」〜「新月🌑」と、日々繰り返し姿を変えながら、いつも変わらずそこにあり、私たちを見守ってくれる存在です。この小説は、私たちの日常にもきっとあたりまえのように感じて気づくことすらなくなってしまっている、けれど確かにそこに存在し、私たちに向けて与えられ続けている誰かからの優しさや愛情があることに気づく小さなきっかけになるかもしれません。読み終えた時に、なんだかほっとする優しく温かい一冊でした。

 最後に、タイトルにある「月が立つ」という表現、分かるようでわかりませんよね。何を意味しているのか興味がある方も、ぜひこちらの本を手にとってみてください。

 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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